なぜ新規事業は成功しないのか?

松本です。

私はコンサルタントとして新規事業の案件にあたることがままあります。

(もちろん新規事業だけを扱っているわけではありません...)

 

かつて読んだ本の中で「本当は誰も新規事業のコンサルティングなんかしたくない」

といった一説がありました。

コスト削減コンサルティングならば、ほとんど成功します。

ところが新規事業コンサルティングは成功する確率が低いのです。

 

一般的に新規事業の成功確率は、10%程度だと言われています。

10回に9回は失敗するということ。

誰だって関わりたくはありません。

 

ではなぜ新規事業はこれほど失敗するのでしょうか?

あらゆる業界で共通することです。

 

ひとつには、変わりたくないと言う人たちが一定層いることに起因します。

社内あるいは関係者の中で、もちろん積極的に足を引っ張る人もいますし、

 

足を引っ張るということではなく

「今のままで良い」、「今売れているものをちょっとリニューアルしよう」

そんな声もあるかと思います。そのほうがもちろん楽です。

売り先にも変わりたくない人たちがいれば導入を拒むでしょう。

 

また新規事業について「黒字転換するのに3年待とう」当初経営者がそう言っていたとして

1年少し経った頃に「まだ黒字化しないのか?」となることもあります。

経営層が資金を投入し続けることに我慢できなくなるわけです。

 

もしかすると5年我慢すれば黒字化するかもしれません。

けれども我慢できなくて1年半で止めてしまえば

それは失敗と言う烙印を押されてしまいます。

 

とはいえ新規事業はなされるべきなのです。

<ものづくり日本はなぜ衰退してしまったのか>といった言説をよく目にします。

昨今話題のChatGPTもアメリカで生まれています。

全く新しいものを生み出そうという熱量がとてもとても重要です。

 

私が尊敬するマーケティングの先生

石井淳蔵先生が『ビジネス・インサイト』(岩波新書刊)の冒頭

「強み伝い経営は破綻する。

経営者は跳ばなければならない」

そういった表現をされていました。

 

これこそが新規事業を積極的になさなければならない理由です。

強み伝い経営は破綻するとは、どういうことなのでしょうか?

強み伝いで少しずつリニューアルなどを繰り返しながら事業継続していると

世の中の流れのほうが早いということなのです。

 

さてありがたいことに、これまで私は様々な新規事業に関わらせていただきました。

成功する新規事業プロジェクトとはどういったものなのでしょうか?

 

1つには担当者が確固たるインサイトを得ているということ。

2つ目にこの事業によって誰がどんなふうに幸せになるのかが明確であるという事。

あるいは少し大げさになりますが世界がどのように良くなるのか明確だということです。

例えばわかりやすい例としては、海の水を飲料水に変えるなどです。

 

そうすると社内の例えば営業チームであったり

また社外の取引先であったり、はたまた広報PRの関係の方であったり

多くの人が共感し広めようと応援してくれます。

ですのでこういったプロジェクトは成功しやすくなります。

 

新規事業の成功確率は10%程度だと言われています。

それでも取り組む価値は必ずあると考えています。