インサイトは説得技術ではないということ。

 

松本朋子です。
先日、グロービス経営大学院
「インサイトとブランディング」の授業で、
お話をさせていただきました。

あらためて考えさせられたのが、
組織に属していらっしゃる方が、

インサイトでつまずく点についてです。
「インサイトを発見したのに、
その案が上司に通らない」というもの。

これは、実際よく聞く話です。
上司に案が通らない

⇒だからコンシューマー・インサイトは使えない。
いえいえ、それは違います!
「インサイトを発見したのに、その案が上司に通らない」
ここには、2つの落とし穴があります。

①インサイトは説得技術ではない。
②発見ということばを使ったため、

 1点を重大にとらえすぎている。

まず、インサイトは説得技術ではない、ということを
ご説明します。
上司に自分の案を採用してもらうには、プレゼン技術が
必要です。

  論理性+きらっと光るアイデア(魅力)
  +伝え方(複数案の中でもこれを押す理由と熱意)

数字を示せと言われたら、用意しましょう。

次に、発見ということばの意味です。
”インサイト発見”といっても、

コロンブスのアメリカ大陸発見とは
意味が違うのです。
ブレークスルーのようなものです。
実在の、目に見える”大陸”ではありません。

自分の体験のなかで、
「やった!インサイト発見したぞ!!」と

嬉しくなる気持ちが、
アメリカ大陸発見級のことだとは、よくわかります。
でも残念ながら、大きく見え過ぎています。

ひとつのテーマを解決していくために、
インサイトは通常1つだけではありません。
いくつかのインサイトがあり、そのなかでも重要な鍵になる
インサイトがあります。
また、発見した、”消費者の購買のツボ”を、どのような
ことば、ビジュアルで表現するのか、
いわゆるクリエイティブによって、

結果は大きく変わってきます。

面倒臭そう?
いえいえ、それでも、コンシューマー・インサイトに注目し、
仕事を進めるメリットは、途方もなく大きいのです。
何度もお話していることですが、
成熟経済下、生きていくために必要なモノは日本人の誰もが
すでに持っていて、その中で、

自社商品を買っていただく必要があるのですから。